パソコン代金は損金になる?

自動車整備士・整備工場経営の税務質問箱

せいび界2012年7月号掲載

Q、パソコン代金は損金になる?

当社は取得価額が15万円と25万円のパソコンをそれぞれ購入する予定です。法人税法上、その取得価額を資産計上せずに損金の額に算入することはできますか。また、その処理に当たっては、どのような点に注意する必要がありますか。なお、当社は中小 企業者等に該当します。

A、

ご質問のパソコンについては、ともに取得価額が10万円以上であるため、取得価額を全額損金の額に算入することができる少額の減価償却資産に該当しませんが、取得価額が30万円未満であるため、中小企業者等の特例措置によりその全額を損金の額に算入することができます。

また、15万円のパソコンについては、取得価額が20万円未満の一括償却資産に該当するため、 その取得価額を3年間で均等に償却することも可能です。

なお、固定資産税 (償却資産)の取扱いにおいて、少額の減価償却資産及び一括償却資産は固定資産税の課税対象になりませんが、中小企業者等の特例措置により取得価額の全額を損金の額に算入した減価償却資産は課税対象になります。

したがって、15万円のパソコンについて、3年間の均等償却を選択した場合は固定資産税の課税対象になりませんが、特例措置を適用した場合は課税対象になります。また、25万円のパソコ ンは少額の減価償却資産にも一括償却資産にも該当しませんので、固定資産税の課税対象になります。

1、減価償劫資產の取得個額

減価償却資産とは、事業のために取得した固定資産のうち、建物、構築物、機械及び装置、車両 及び運搬具、工具器具及び備品等の償却すべき資産をいいます (法法2二十三)。減価償却資産の 取得価額は、原則として当該資産を取得するために要した一切の費用を計上することになります(法 令54)。

  1. 取得価額が10万円未満の減価償却資産

減価償却資産の取得価額が10万円未満の場合で、その取得価額に相当する額を損金経理したときは、取得価額の全額を損金に算入することができます。

つまり、確定した決算において当該資産を資産計上せずに費用処理したときは、法人税法上も損 金として認められることになり、逆に取得価額が10万円未満であっても、確定した決算において資産計上した場合は法人税法上の償却限度額までを損金の額に算入することとなります (法法31)。

  1. 取得価格20万円未滿の減個償劫資產(一括償劫資產)

取得価額が20万円未満の減価償却資産については、一括償却資産の損金算入の規定により、そ の取得価額を合計した額(一括償却資産) を36で除して当該事業年度の月数 (1年の場合は12) を乗じて計算した金額(当該事業年度/36) を損金の額に算入することができます。

これは、期中に取得したものであっても、事業の用に供した月数によらず「当該事業年度/36」 で計算します (法令133の2)。つまり、3年間で均等に償却することになります。

よって、15万円のパソコンについては、当該事業年度の月数を12月とした場合、取得価額の 12/36である5万円を損金の額に算入することができます。

  1. 取得価格30万円未満の減価償劫資產(中小企業者等の少額減価償劫資產の特例)

中小企業者等で青色申告書を提出する法人は、取得価額が30万円未満の少額減価償却資産 (取得価額が10万円未満のもの、上記2又は3の適用を受けるものを除きます) について特例措置が認められており、その取得価額に相当する金額を損金経理したときは、取得価額の全額を損金算入することができます(措法67の5)。

ただし、当該特例の適用は1事業年度につき適用資産の取得価額の合計が300万円まで(当該 事業年度の月数が12月の場合) となります。なお、当該特例の適用がある中小企業者等とは、資本金が1億円以下の法人等のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人で大規模法人の 子会社等でない法人等をいいます (措法42の4 ⑫五、描令27の4⑩)。

よって、貴社は中小企業者等に該当するとのことですので、15万円のパソコンと25万円のパ ソコンの取得価額の全額をともに損金経理により損金の額に算入することができます。

5。固定資産税 (償却資産) の取扱い

地方税法上、土地及び家屋以外の事業の用に供することができる有形固定資産を償却資産といい、 固定資産税の課税対象となります (地法341四)。一般に償却資産税と呼ばれるものです。償却資 産は、その減価償却費が法人税法上、損金の額に算入されるもののうちその「取得価額が便用額で ある資産」以外のものをいいます。

ここでいう「取得価額が使用額である資産」とは、上記2「取得価額が10万円未満の減価償却資産」 又は上記3 「取得価額20万円未満の減価償却資産」をいいます (地令49)。

そのため、上記4 「取得価額30万円未満の減価償却資産」(中小企業者等の少額減価償却資産 の特例) については、「取得価額が少額である資産」に該当せず、固定資産税の課税対象となるこ とに注意が必要です。なお、取得価額が10万円未満又は20万円未満の減価償却資産であっても 確定した決算において資産計上したものについては、上記2又は3の適用を受けませんので、固定 資産税の課税対象となります。

6. ご質問の場合における適用関係

ご質問の場合における上記3ー5の適用関係をまとめると下図のようになります。

 3年間で均等償却
(20万円未満)
中小企業等の小額減価償却資産
の特例
資産計上
(法定耐用年数4年で減価償却)
 15万円のパソコン  ○  ○※ ○※
 25万円のパソコン  ×  ○※ ○※

※固定資産税(償却資産)の課税対象となります。

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